携帯ショップ店員として働いた2年半②~店舗の仲間たち~
研修を終え、店舗に戻った。
忙しい日は昼食休憩もトイレ休憩も取れないまま閉店まで目まぐるしく働いた。と思えば、全然来客がなく暇な日もあった。
仕事は好きになれなかったが、店舗スタッフの人間関係は良好だった。
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ギャル先輩
私の教育係についたのは、ちょっとギャルっぽい小柄な可愛い先輩。
ギャル先輩はシャチハタにジャラジャラとストラップを付けていて、ネイルもいつも綺麗で、よくスタバのドリンクを飲んでいて、センスの良い香水の香りがした。
最初は、ギャル先輩の応対を後ろで見学。何度かロープレした後、まずは簡単な手続きから受けた。
何の手続きだったかは思い出せない。やっぱり最初は「料金収納」かな。
ある日、「解約」の手続きをまわされた。受付に入る前に、会社のパソコン(手続きを行う専用のソフト?が入っている)の操作手順と、お客様に説明する事項を再確認してから臨んだ。
🧑🏻「今は更新月ではないので、解約金が1万円(正確な金額は忘れた)かかります。」
😡「はぁ~!?ふざけんなよ!!こっちは不満があって解約しに来てんだよ!2年使ってるからいいじゃねぇかよ!!」
初めてお客様に怒鳴られて、頭が真っ白になった。
すぐ後ろで様子を見ていたギャル先輩がすかさず「かわりますね」と出てきてくれて助かった。
ポニーテール先輩
新人のうちはなにもかもがわからない。
手続きの途中でお客様に何か聞かれるたびに、「少々お待ちください」と席を離れ、空いてる先輩スタッフを捕まえては質問していた。
お店が忙しい時は誰も捕まらなくて焦った。そこに通りがかった、背が高くてモデルのようにスラっとした綺麗な先輩。よくポニーテールにしていた。ポニーテール先輩も応対中なので忙しそうだが、かまわず声をかける。
🧑🏻「あの…」
気付いているはずだが、私をスルーしてポニーテールを揺らしながら足早に去っていった。う…ちょっと傷つく。でも確かに、多少気が強い人でないとやっていけない仕事だと思う。
彼女は、ずっとこの仕事に不満を持っていたらしく、私が入社してすぐに辞めてしまった。花束を受け取ったポニテ先輩は「こういう時って普通は泣きますよね?全然泣けなくて、なんかすいません。」と笑っていて、心の中で「よかったですね」と呟いた。次はいい仕事だといいですね。
中国人先輩
中国人男性のスタッフも辞めてしまった。
いつもどっしりと余裕があって、よくジョークで笑わせてくれた。いい転職先が見つかったらしい。
ママさん店員
育休から復帰して時短勤務をしているお母さんが二人いた。
お喋りママと、深津絵里似ママ。
私が質問するたびに「それ、私に聞く~??」と笑いながら一緒に調べてくれた。
この仕事は、新しいことを常に勉強し続けなければならない。空き時間にパソコンで周知事項の確認や勉強をするのだが、時短の人は窓口に入らずに、入り口でずっと立っていて用件を聞く「フロアマネージャー」の役割を任されることが多かった。そうすると、なかなか勉強するチャンスもなく、労働時間も短いので、勉強が追い付かないのかも。
二人とも辞めてしまった。
保育園からの呼び出し電話が頻繁にかかってきて、いずらくなったのかもしれない。まだ出勤したばかりなのに「すみません、すみません。」と周りに頭を下げながら保育園に向かう様子を何度も見ており、お母さんって大変なんだなぁとぼんやり思っていた。
お爺ちゃん店員
どんどん人が辞めていく。定年までいるだろうと思っていたお爺ちゃん店員も辞めてしまった。
私の質問に丁寧に答えてくれたし、物腰の柔らかい接客とか、たまにする世間話も好きだったから、いなくなってしまうのは寂しかった。
ストレス光派遣さん
正社員のスタッフだけでなく、派遣の方もいた。インターネット固定回線、通称「光」に特化した男性スタッフが派遣されて来た。
機種変更、新規契約、タブレット、オプション、クレカ、アクセサリー……日々、いろんな数字を追っている、というか追われている中で、最も契約が難しく、かつ重要視されているのが光だった。一件も契約が取れない日が続くと、「君は何のために雇われているのかわかってるよな?頼むよ、これにかかってるんだから。」と言われていて気の毒だった。
結局、彼はストレス性の胃の病気にかかり、退職した。
イケボ副店長
会社のパソコンで勉強していた時、わからないところが出てきた。
近くにいた副店長に「ここなんですけど」と質問すると「どれどれ」とパソコンに顔を近付けて説明し始めた。副店長は男性で、低めの声がめちゃくちゃいい。その声で耳元で話されると、説明が全く頭に入ってこない。なんのサービスですか。録音させてください。イケボ副店長は、お腹は少しぽよっとしてるけど顔もドストライクだった。妙に色気があるアンニュイな表情。タバコを吸ってるところも様になっててまたカッコいいんだなぁ…。
くたくた店長
店長もタバコを吸っていた。上から詰められているのか、いつも疲れたような顔をしていた。スーツもヨレヨレ。この後就任した鬼店長と比べると、くたくた店長は甘かった。スタッフには優しいけど、店舗の成績は芳しくなく、閉店ギリギリのところをさまよっていた。
③~鬼店長、襲来~へ続く。
アデュー('ω')ノ