め~ちゃん育児と主婦の毎日

育児の日常や、日々の出来事などあれこれ('ω')

携帯ショップ店員として働いた2年半③~鬼店長、襲来~

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一人、また一人と他店の同期が辞めたという情報が入ってきた。

入れ替わりの激しい職場、去っていく人がいれば新しい人が補充される。

①はこちら▼

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②はこちら▼

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パリピ先輩

私よりちょっと年上ぐらいの若い先輩スタッフが、他店から移動してきた。

彼女はクラブ通いが趣味で、「あざす⤴」とか「かしこ!」とか変わった言葉遣いをする。とにかく面白い人で、パリピ先輩が来てから女性スタッフ間で下ネタ系の雑談が増えた。店長がいない日限定だけど、ワイワイと楽しかったなぁ。

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鬼店長

隣の店舗で鬼店長として有名だった人が、ついにうちの店舗にやってきた。彼の手にかかれば、どんな限界店舗もたちまち業績UPするらしい。

 

応対を後ろから常にチェックされていて、「今の、なんでここ訴求しなかったの?」と詰められる。冷たい表情と、時には怒鳴り声。怖い。これこそ恐怖政治だ。誰も逆らえない。言ってること自体は正しいのだから。それが私たちの仕事なのだから。

すべての応対において気が抜けない状況で、一日中張り詰めた中で働いていた。

とにかく数字をあげなければならないので、皆必死だった。おかげでお店の業績はなんとか持ち直した。でも、どんなに頑張って積み上げた数字も、翌月になればまたまっさらな状態からのスタート。

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私はいつの間にか、毎朝出勤の車の中で「今日はなにも失敗しませんように。今日はなにも失敗しませんように。今日はなにも失敗しませんように。今日は」と、ぶつぶつ呟くほど病んでいた。

 

ブルドッグ先輩

鬼店長に叱られて休憩室で落ち込んでいた私に、ちょっと前に移動してきた、ほっぺがブルドッグみたいな男性スタッフが声をかけてくれた。

「ほれ、甘いもんでも食べて元気出しな」と、休憩室にあったアルファベットチョコを渡してくれた。ブルドッグ先輩は勤務歴が長く、皆が敬遠しがちな故障系に詳しいのでよくまわされていた。故障系は、ノルマの観点から見ると他の手続きと比べて全然おいしくないうえに、手間と時間ばかりかかるから、ちょっと可哀そうだった。

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オタク女子

欠員補充のため移動してきた、初めての同年代の女子。この子は2次元アイドルと声優オタクで、個性的で面白かった。プライベートで一緒に街コンに行って爆笑したのはいい思い出。

 

エース先輩

エース先輩は新しく来た人ではなく最初からいたのだが、話の流れ上最後に紹介する。

 

私が就活中に店舗見学に行った時、対応してくれた美人のスタッフがいた。私の質問にも丁寧に答えてくれて、近くで接客も見させてもらったが素晴らしかった。「この人みたいになりたいな」と思っていたら、偶然そのスタッフがいる店舗に配属されたのだった。

彼女は、店舗の一番の稼ぎ頭だった。エース先輩を指名するお客様も多かった。

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そんなエース先輩が、ある日タブレットを販売した。

相手は70代後半ぐらいのお爺ちゃん。ガラケーユーザーで、スマホは使ったことがない。

そんな方にも売れるなんて、さすがだなぁとその時は思っていた。

 

数日後、そのお爺ちゃんが再来店された。

タブレットを解約したい」とのことだった。

 

私が対応することになり、「今解約すると解約金がかかること」「2年間使えば、毎月の利用料金はかかるが、サポートが付くのでそれで機種代は実質0円になること」を再度説明したが、それでも解約したいと言う。

 

「こんなの使いこなせるわけがないのに…ちゃんと考えずに契約しちゃった自分が悪いんです…。お金はかかってもいいから、今すぐ解約したいです。」

 

エース先輩なら、ここでまたいろんな活用法を言葉巧みに説明し、説得できただろうか。

私にはできなかった。なんとか引き留めようとしたけど、私の力量では無理だった。

 

結局お爺ちゃんは、解約金と違約金、合計で3万円以上を支払っていった。

ほとんど使ってないタブレットに、3万円。

 

エース先輩も、もし厳しいノルマに追われていなければ、最初から年配の方にまで売ることはなかったのではないか。

 

なに、このクソみたいな仕事。

私、なにしてるんだろう。

 

そう思う場面は何度もあった。鬼店長が来てから特に増えた。

 

「この人にはこのスペックの機種で充分だ」とわかっていても、インセンティブのあるハイエンドモデルをおすすめする。

 

「この人には必要ないんじゃないかな…」と思っていても、クレジットカードやオプションサービスを訴求する。

 

故障で来たお客様には、修理より機種変更に誘導する。

 

お金にならないお客さんに時間を割いていると、「ボランティアじゃないんだから、その辺で切り上げて。」とインカムが飛んでくる。

 

お客様第一じゃなくて、お店の利益第一。

理想と現実のギャップ。

 

辞めたい、とずっと思っていて、ある日、資格試験のことで鬼店長に叱られた時に限界が来た。

ノルマに追われ、鬼店長にビクビクしながら過ごす毎日、誇りの持てない仕事…

泣きながらもう辞めますと言った私を、エース先輩は引き留めてくれたが、もう続けるのは無理だった。

 

逃げるように辞めたので、結局あれから一度もお店に顔を出せていない。

皆、元気にしてるかな。

全員書ききれなかったけど他にも、オバチャン副店長純粋後輩君イケイケ姉さんエリート応援さんハゲ光おじさんコミュ力派遣さんぬぼっと後輩君シンママさんナマステ副店長がいて、皆本当に大好きで、写真を見返していたら思わず「なんで辞めちゃったんだろう」って寂しくなるぐらい。

たぶん、もう全員入れ替わって知ってる顔がいないだろうな。

 

コロナが蔓延してからは、お店の営業方針もきっとガラリと変わっただろう。

店舗に人を呼んではいけない、来店予約のお客様しか受け付けない、契約変更などネットでできる用件はネットで済ませてもらう、など。

そうすると、ノルマとかもあんまり厳しくないのかな?

MVNO(格安SIM)にどんどんお客を取られっぱなし?

今どんな状況かはわからないけど、もう戻りたくはないかな。

 

思い出として残しておきたかっただけなので何のオチもなくてすみません。もちろん全ての携帯ショップが利益優先の指導をされているわけではないと思います。最後まで読んでくれてありがとうございました!

「退職後でも会社の機密は洩らさないでネ」的な書類にサインしたから、なるべくアバウトに書くように努めたけど、ギリギリセーフ?アウト?消さないでくれ~!

アデュー('ω')ノ